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2月東京公演第二部『大経師昔暦』と文楽座学

  • Day:2019.03.05 21:22
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今年は、積極的にブログ更新していこう☆

なんて、思ったりしていたのですが。
お仕事と勉強ですべて忙殺、ときどき風邪という状態で、
ふと気づくと、ひな祭りが終わっていました…。

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さて、年始めの文楽は、国立劇場小劇場。
近松門左衛門作『大経師昔暦』
国立劇場HP予告編より)
暦を納める権利を許された特権的な町人の家で起こった
スキャンダルを近松門左衛門が脚色した、
"姦通物"と呼ばれるジャンルの作品。

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「文楽や歌舞伎は、その時代におけるワイドショーそのものだった」

素人耳に、聞いたこともあります。
それ故に脚色され、美談、伝説とされることもあったのだと。

難しいことは、よくわからないのですが、実際にあった
おさん茂兵衛の姦通事件33回忌に書かれたものとのこと。
『大経師昔暦』です。

まずは、猫登場。
(一部の観客がゴロニャン状態なのですが…。)

おさんという女房が、抱いている飼い猫(雌猫)に
野良猫(雄猫)を追い払いながら、
「男持つならたった一人持つもの、間男すれば磔にかかる、
女子のたしなみ知らぬか」
「粟田口(処刑場)へ行きたいか」
そんな前フリ。

素人には結構わかりづらいのですが、
ちゃんと良い人と悪い人の見極めがつきやすいことが有難く。

おさんの年の離れた良家の旦那(幼なじみ)は
下女の寝室に忍び込むほどの色狂い、
悪党の手代がいる状況で、
たまたま、やむにやまれぬ状況で
茂兵衛と過ちがあったというようなストーリー。

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観劇後に参加したNPO法人人形浄瑠璃文楽座主催による座話会では、
人間国宝であられる人形遣いの吉田和生さんに、いろいろとお話を伺いました。

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今回特別に、女房おさんの衣装は、
足もとに鷺の柄をつけているということ、
人形遣いさんは陰惨な現場、濡れ場など、
わちゃわちゃした現場では、人形遣いさんたちは
頭巾をかぶっていらっしゃるとのこと、
また影法師についてなど…。

質問がなくなるまで、本当に最後の最後まで
いかなる質問にも、真摯に対応されて、感動。
さすが人間を超えて、
神の領域にいらっしゃると感心致しました。

ちなみに、井原西鶴の『好色五人女』巻三にも
女房おさんのストーリーがありますが、まったく異なるものです。

近松作品と西鶴作品における、同じ人物の扱い方、
また、猫とフェミニズムについても、改めて考えさせられました。

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文楽は本当に大好きで、『壇浦兜軍記』についても、
と思ったのですが、あまりに長過ぎるので、またの機会に。
こちらも、本当に感動しました。

目も耳も心も、すべて動かされる
素晴らしい芸能だと改めて思います。
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神無月の「生きる」

  • Day:2018.10.08 00:59
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神無月に入りまして、また連休。
(公私ともに、遠出できないこともあり、
私はお休みモードではありません…)

そんな中、ご縁をいただきまして、黒澤明氏 没後20年記念作品
生きる』というミュージカルを鑑賞しました。
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演出は宮本亜門さん、作曲&編曲はグラミー賞受賞のジェイソン・ハウランドさん。
(お父さんもいらっしゃっていました)
脚本&歌詞は、『アナ雪』の歌詞翻訳(訳詞)を担当した高橋知伽江さん。

プレビュー講演の渡辺勘治役(ダブルキャスト)は、市村正親さん。
なぜか、市村正親さんの舞台はたびたびご縁があり、
前回は3年程前、池袋のサンシャイン劇場で1枚の白い絵をめぐり
親友3人が舌戦を繰り広げる3人芝居『ART』を鑑賞しておりました。

当たり前のことですが、お芝居の世界で勝負されてこられた方たちは、
やはり発声が違うというのが、ありありと実感致しました。

スティーブン・スピルバーグ監督は黒澤監督の訃報に際し、
"The pictorial Shakespeare of our time"
「現代における映像のシェイクスピアだ」と称したとのことですが、
映像美に対するこだわりが半端ない感じが(今観ても)します。

※トニーさんとは面識接触ございませんが、リスペクトしておりアップさせていただきました。

その黒澤作品が、ミュージカルになるということで、舞台挨拶でも
お話されていましたが、「いったい、どうなるの?」という感じでしたが、
映画の世界観を崩さず、ミュージカルとして
バランスよい展開に成立させていて、流石だなと思いました。

ただ、このお話は昭和20年代に公開されていて、
やはり現状とは、かなり異なっているということが気になりました。

土地と場所に対する価値観、いま、人が求め、集まる場所、
そして、家族と周囲のあり方は全く変わってしまった気がします。

(拝見したところ)大人の方々が多数お見えになっており、
涙されている方も多々いらっしゃいました。
幾度に及ぶカーテンコールをまざまざと目にしつつ、
いまの時代を「生きる」切なさ加減、世代によってさまざまと。

もう少し、いろいろな方とお話してみたかったな、と思いつつ
劇場を後にした新月迫る夜でした。

長月の文楽(東京公演)第二部観劇&文楽座学

  • Day:2018.09.24 22:33
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秋分の日を迎えまして、陽から陰へ移り変わる時期。
相次ぐ災害、地震、悪天候等で被害、影響を受けられている方に
お見舞い申し上げるとともに、すべての皆様が心穏やかに
安心、安全に過ごされますよう、心より祈念致しております。

さて、長月の文楽(東京公演)観劇、今回は第二部、
NPO法人人形浄瑠璃文楽座の文楽座学のレポートを
備忘録的にアップ致します。

『夏祭浪花鑑』は、全九話の世話物(時代世話)。
国立文楽劇場のWebサイトに掲載されていた寄稿
松竹の歌舞伎演目案内等で、あらすじが分かります。
ものすごくざっくりいうと、大阪の魚屋さんによる舅殺し。

今回の文楽座学1回目は、早稲田大学文学部児玉教授によるレクチャー。
古地図と慶應義塾大学所蔵の挿絵(文献)を眺めつつ。

刺青=彫り物≠入れ墨

『刺青・性・史 逆光の日本美』という著作についても
少し触れておられましたが、学生時代、
谷崎潤一郎ワールドに耽溺していた私としては
かなり興味深かったです。

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文楽座学2回目は、人形遣いであられる
吉田勘市さんによるレクチャー。
(第一部の出演ながら、団七を御持参いただき、感謝です)
5月の公演でも大変分かりやすかったので、
レクチャー目的で国立劇場伝統芸能情報館へ馳せ参じました。
そこで、上方落語と人形浄瑠璃の共通点など伺いました。
たとえば、『初音の鼓』や『寝床』、
そして今回の五段目「道行妹背の走書」は
落語の演目『ふたなり』に重なっているとのこと。
浅薄な知識ですので、イヤホンガイドでは分からないこと、
どこかで観たけれど覚えのないことも多々あり、
ああなるほど、といろいろ納得致しました。

また、六段目「釣船三婦内の段」。
人妻の色気を醸し出している侠客の女房が
焼けた鉄弓を当てて傷を作る場面があるのですが、
講義の中で南北朝時代に曹洞宗 最乗寺をひらいた
了庵慧明禅師の妹とされる
慧春尼信仰についてお話されていました。
私は、生まれも育ちも小田原です。
程近い南足柄の最乗寺は、
たびたび伺ったことがあります。
ですが、美女の慧春尼が入門を願ったが許されず、
自分の美貌が妨げになるのならと、
焼け火箸を顔に当て「我が心を示せり」と
弟子入りを願ったという話は全く知りませんでした。
さらに、女人救済のため、薪を積み上げて火をつけ、
自身を法灯と化して入定したということも。

お話を聞くにつれ、私にとって、
少し遠くに感じていたストーリー、人間模様が
一気に、とても近づいた感じがしました。
私は一公演に何度も足繁く通うことはできないのですが、
拝見する度、太夫さんも三味線さんも人形遣いの方も
まさに三位一体で素晴らしいと感じております。

レクチャーにいらっしゃった方で、大阪の舞台と国立劇場とでは
どこか違うとお話されていましたが、
キャパや間口の問題ではなく(多少それもあるかもしれませんが)
やはり文楽のためにつくられた劇場と、
それ以外では違うような気が致します。
11月公演は、大阪に行くことが出来たらと思いつつ、
年末進行を念頭に、粛々と諸々励んで参ります。

長月の文楽(東京公演)第一部観劇

  • Day:2018.09.18 20:33
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相次ぐ災害、地震、悪天候等で被害、影響を受けられている方に
お見舞い申し上げるとともに、すべての皆様が心穏やかに
安心、安全に過ごされますよう、心より祈念致しております。

さて、皐月に行われた東京公演に引き続き、今月も観劇して参りました。
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第一部は、明治150年記念に因み、明治期につくられた名作
『良弁杉由来』と『増補忠臣蔵』。
細かな解説は日本芸術振興会の国立劇場トピックスにあります。
『良弁杉由来』は、ひとことで言うと、
生き別れになった母子の再会ストーリー。
『今昔物語集』などの説話に見られる親子再会物語と
『沙石集』の良弁僧正の出生譚が結びつけたものらしいのですが、
貴種流離譚、ヒーローズジャーニー的な展開よりも、
心を病み、我が子を求めてさすらう母親の方に
スポットが当たっているところに感じるものがありました。
当時の(戦争に突き進んでいたような)
時代背景を考え合わせると、
この作品が当時新作浄瑠璃の佳作として
評価を得たというのも、わかるような気がしました。
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『増補忠臣蔵』の内容は、言わずもがなでしょうか。。
今回、人形浄瑠璃文楽座主催による
文楽座学とともに文楽座話会もありました。
そこで、相次ぐ襲名披露公演の先駆けであられた
豊竹呂太夫さんのお話を伺う機会に恵まれました。
襲名前と襲名後のお話、また、義太夫発声ゼミ についても
軽妙にトークいただきました。
『増補忠臣蔵』の登場人物で完全なる悪役の声の出し方についても
素人にも分かりやすく教えていただきました。
「喉に楽器をつくるのに20年かかる」とのこと、大変納得致しました。
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幕間には、日本芸術文化振興会人形浄瑠璃文楽座共催で、
北海道胆振東部地震災害義援金を募集していました。
文楽技芸員の方が呼びかけされているのをお見かけし、
以前の災害時にも、同じような光景を劇場で観たのを思い出しました。
改めて、いまの自分に出来ることを積み重ねなければならないと
気が引き締まる思いでした。

第二部公演についても一気にアップしようと思っておりましたが、
かなり長くなってしまいましたので、また改めまして。

五月東京公演文楽観劇☆

  • Day:2018.07.06 22:22
  • Cat:Report
文楽、大好きです。

もともと、父方は関西なので、
そのコトバ、響き、音韻、抑揚に、
憧れのような、郷愁のようなものがありまして。
観劇となると、長丁場になるのですが、
公私の隙を見計らい、ちょくちょくうかがっております。。

舞台としては、大阪の国立文楽劇場が望ましいのですが、
東京を拠点としておりますので、
基本的には、国立劇場小劇場にて観劇。
もう二カ月前のことですが、五月公演の思い出話。
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(毎度?)満員御礼。
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吉田幸助改め五代目吉田玉助氏の
襲名披露口上あり。

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長丁場なので、一部と二部、二度に分けての観劇。
(同日では物理的にも内容的にも難しいです。。)

一部の終演後、NPO法人人形浄瑠璃文楽座による文楽座話会に参加しました。
先ずは、三味線、野澤喜一朗改め、野澤勝平氏がご挨拶されました。
いろいろとお話されたのですが(どこまでお話していいのか分からず)、
一番印象に残ったのはお酒について。
お酒と伝統芸能の会もたびたび開催されるということで、
日本酒にもこだわりがあるようで。
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造り手さんとコラボしたラベルのお酒も見せていただきました。
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それから、文楽のファンタジスタなる桐竹勘十郎氏が登場。
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週刊文春の記事
拝見していましたが、まさにファンタジスタ。
『義経千本桜』でも妙技を魅せていただきました。
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狐を手にし、破顔一笑。
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どこから出てきたのか分かりませんが、こちらの短歌がタイミングよく。

「きつねなら きつねならぬぞ 心得ぬ きつねにせよや きつねなりせば」
(『今日狂歌集』 木室七左衛門作 ※引用文献と作者未確認)

今年は残念ながら、内子座文楽は難しそう。。
9月の公演を楽しみにしています。