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こどもの日を前に。

降ったりやんだり、晴れ間が見えたり
ゆき怪しい黄金週間。

私は仕事の傍ら、書庫の整理をしつつ、
束の間の読書に興じています。

ふと、書庫から見つけた一冊の本。

子供とカップルの美術史―中世から18世紀へ (NHKブックス)子供とカップルの美術史―中世から18世紀へ (NHKブックス)
(2002/10)
森 洋子

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2年ほど前、京都伊勢丹の美術館で開催された
「ブリューゲル版画の世界展」で購入したもの。

聖書の世界、ことわざ、子供の遊び、民衆の祝祭、農民の労働をテーマに描いた
16世紀の農民画家、ピーテル・ブリューゲル

img_child_1.jpg

ブリューゲルといえば、『子どもの遊戯』(1560年 ウィーン美術史美術館)
260人余りの子どもたちによる約90種類の遊戯が示された精密な作品


子供の誕生子供の誕生
(1981/01)
フィリップ・アリエス

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フランスの歴史学者フィリップ・アリエスの著書『〈子供〉の誕生』によると、
ヨーロッパでは中世に至るまで、<子供>は<小さな大人>であり、
<子供>という概念自体、存在しなかったのだとか。

その後、スイス生まれの哲学者・思想家・作家・作曲家の
ジャン=ジャック・ルソーが教育論を展開。


エミール〈上〉 (岩波文庫)エミール〈上〉 (岩波文庫)
(1962/05/16)
ルソー

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放浪生活を送りつつ、『子どもの発見者』となったルソーは、
子供を<小さな大人>として扱うことの非を説いています。
ルソーは『告白』(Les Confessions)という本も遺していますが、
そのタイトルからこんな本を思い出しました。

告白告白
(2008/08/05)
湊 かなえ

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明日はこどもの日

内閣府のHPには、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」
と記載されています。

柏餅をいただきつつ、ミライを担う子どもたちと
その親御さんたちにひっそりエールを送りたいと思います。



穀雨を過ぎて。

暦の上では数日前に迎えた「穀雨」。
今日になって、春雨が…

その柔らかな雨をみているうちに。
中国・唐の時代を生きた詩人・于武陵の「勧酒」という漢詩を思い出しました。

「勧君金屈巵(君に勧める きんくっし)
満酌不須辞(満酌 辞するをもちいず)
花発多風雨(花ひらけば風雨多く)
人生足別離(人生 別離おおし)」


さて、井伏鱒二による名訳を以下に。

「コノサカヅキヲ 受ケテクレ
ドウゾ ナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
『サヨナラ』ダケガ人生ダ」      
(井伏鱒二『厄除け詩集』より)


厄除け詩集厄除け詩集
(1977/01)
井伏 鱒二

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「春雨降りて百穀を生化すればなり」

穀物や草木にならい、風雨を受けつつ、
日々成長していきたいと思います


春の詩(うた)

今日から3月
ふと、Robert Browningの詩(上田敏訳)『春の朝(あした)』が心よぎりました。

時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。

“Pippa's Song”

The year's at the spring,
And day's at the morn;
Morning's at seven;
The hill-side's dew-pearl'd;
The lark's on the wing;
The snail's on the thorn;
God's in His heaven--
All's right with the world ! 

海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)
(1952/11)
上田 敏

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ちなみに、『海潮音』に出てくる最初の詩、
「燕の歌」も素敵です

嘘。

第146回芥川賞を受賞した田中慎弥氏の会見が
ここ数日、かなり話題になっていました。

妙な違和感をおぼえていたのですが、
その後、たまたま目にした情報番組に田中氏の姿を発見。

受賞会見の振り返りを中心としたインタビューの終わり。
アナウンサーから手渡された色紙に
「足が絡まっても踊り続けろ。」という言葉を残していました。

映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』
主演のアル・パチーノは第65回アカデミー主演男優賞を受賞

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(2011/09/22)
アル・パチーノ、クリス・オドネル 他

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見知らぬ女性に声をかけ、タンゴに誘う盲目の退役軍人・フランク(アル・パチーノ)。
「ステップを間違えてしまうのが怖い」と畏縮する女性に対し、
「人生と違ってタンゴに間違いなんてない。足がからまっても踊り続ければいい。」
と言い放ち、優雅なダンスを披露するのです

“No mistakes in the tango. Not like life. It's simple.
That's what makes the tango so great.
If you make a mistake, get all tangled up, just tango on.”

この台詞を座右の銘にしているということで、
田中氏の受賞会見での印象が一気に覆されました。

テレビの妙味は、生活空間に突如(時には暴力的に)
他者の存在を介入し、知らしめるところにあると
思うことがしばしばあります。

同じ姿・同じフレーズを何度も目にし、耳にし、焼きつけてしまうと、
物事を表層の部分でしか見えなくなってしまいがち…。

上手な嘘、下手な嘘に接したときにも。
その裏にある本質、他者の思いを推し量り、
慮っていくよう心がけたいと思います。


自由人・寅さん

最近いろいろな「法則」が世に出回り、
ルールはもちろん何にもとらわれたくない自由人のひとりとしては食傷気味…。

思わずフェリーニの「道」でも観たくなってしまいます。

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ジュリエッタ・マシーナ、アンソニー・クイン 他

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「思い立ったが吉日」という行き当たりばっかりの人間も、
持ち味がジワジワきているようで、
丸の内朝大学では特別に「寅さん学部」なるものが開講されたそうです。

「男はつらいよ HDリマスター版」プレミアム全巻ボックス コンパクト仕様<全53枚組> [DVD]「男はつらいよ HDリマスター版」プレミアム全巻ボックス コンパクト仕様<全53枚組> [DVD]
(2008/10/29)
渥美清、倍賞千恵子 他

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松竹のサイトでは今なお寅さんが息づいているよう…。


12月16日付の日経MJにも取り上げられていましたが、
「受講生39人のうち女性は19人。男性は40~50代が主だが、
女性は30代の働く女性で、あまり作品を見ていなかった人も多い。」と記されていました。

私は、周りに自由すぎるキャラクターが多かったせいか、
あまりに大人げない人達をみて、
「こんなに自由でいいものだろうか…」と
コドモゴコロに心配したことがよくありました。

寅さんを観に、小田原の今はなき映画館へ連れて行ってもらったことも度々でしたが、
「こういうオトナもありなのか…」と首を捻ったこともシバシバ。

これだけ情報過多にもなれば、みんな考えすぎることはあるでしょう。

そんなに眉間に皺寄せて考えなくても、まあ軽く一杯
飲みつつ、気付けば師走も半ば過ぎ…。

正月映画のスクリーン上ではかなわないので、
せめてDVDで寅さんを観ようかなと画策しています。